プロの仕事

(鳥取県某時計店にて)

腕時計の電池が切れたので、出張先の街で時計屋を探し歩きました。
二つの店を見つけ、表通りにあるきらびやかな店とは反対にある裏通りの店に行きました。それは今にも潰れそうで、なんとなく放っておけなかったからです。
さて、傘のしずくを払いながら店に入ると、頬杖をついてテレビに夢中だった主人は、突然、驚いたように席を立ちました。

電池交換は店によって値段が違うことを経験上心得ていたので、「腕時計の電池、換えて頂いたらいくらくらいかかりますか?」と聞きました。


「どんな時計だい?」 (PM 10:30)
「ものにもよるんだが、大体千円からぁー、えー・・・。」と初老の店主。
私は時計を見せ、「千円までだったらお願いしようかなと思って。」と店主に渡しました。

ろくすっぽ返事もしないまま、時計を持った店主は奥に行き、下から見上げるように覗き込みます。そして即座に、ネジを外しにかかりました。
値段も聞いていないし、頼んでもいないのに・・・。
電池交換が終わり、「おいくら?」と聞いた私に、店主が言います「千円でいいよ。」

そりゃあ店も流行らないはずです。商道徳も態度も、ものの言い方も問題です。


値段は予想通りでした。 (PM 10:48)
おそらく、個人経営の時計屋の電池交換金額には定価などなく、技術料と称して、通常千五百円から二千円程度の言い値なのだと思います。
私の時計なら、良心的なお店で700円から800円といったところです。
まぁ払った千円はご祝儀込みといったところですね。

話は続きます。

時計を返してもらう際、店主は「時間は自分であわせてね。」と言うのです。
さすが流行らない店!絵に描いたように気が利きません。
「構いませんよ。」と返す私に「あわせ方わかる?」とまで聞いて来ました。あわせる気もないくせにです。


「忘れた。」 (PM 11:02)
ちょっとおどけて、そう言ってみました。

店主「えっ!?しょうがないなぁ。」
「あんたじゃ頼りないから、しょうがないからこの俺様がやってやるよ。」と顔に書いてありました。

私の時計はKOOKAIのクロノグラフ、ちょっと面倒くさいんです。

「時間だけあわせてあげるから。あと日付とか曜日はやってねっ!」随分面倒くさそうなセリフです(笑)
さっきまで観ていたテレビがよっぽど気になったのでしょうか?ちょうどスキーのジャンプで、原田雅彦選手が飛んでいる頃でした。


店を出て (PM 11:20)
街を散歩しました。

私は仕事で来ていますが、世間は日曜日!スケジュールに少々余裕があるのはうれしい限りです。

「お腹も空いてきたし、夜ご飯にしようかな?」と腕時計に目をやりました。

「・・・?五時半!?」
有り得ません。だってその頃はまだ某病院で仕事中でしたから。

携帯を見ました。

時刻は「18:30」!

ナント!?あの店主、店の電波時計を見ながあわせた時刻が1時間遅れ!

これってプロの仕事と言えるのでしょうか!?

2 COMMENTS

りら3903

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確かに・・・ですね!
その方接客の楽しさ知らないですね!?いえ、もう忘れてしまったのかも・・・時計屋さん始めた時の思い。
あぁ~私もそうならないように、忘れないでいたいな!

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GawRiku

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りら3903さん
>確かに・・・ですね!
>その方接客の楽しさ知らないですね!?いえ、もう忘れてしまったのかも・・・時計屋さん始めた時の思い。
>あぁ~私もそうならないように、忘れないでいたいな!
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かなりやばいですよね。
閉店も近いかな?

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