若い頃、オートバイレースに夢中でした。
昨日よりも今日、今日よりも明日、
いつも「もっと速く走りたい!」と思っていました。
バイクやレースに関する本も、むさぼるように読んでいました。
そういった本の中であるチューナーが言っていました。
「速いマシンを作る為のやり方には2通りあるんだ。」
「一つはパワーの出るエンジンを載せたりして、ひたすら速さを求めるという方法。」
「・・もう一つは、遅く走らせない、という方法。」
「遅く走らせない!?」なんじゃそりゃ!??
これは意外でした。「そんなアプローチがあったか!」ってなもんです。
具体的には、ブレーキをわずかでも引き摺っていないか?タイヤやエンジンはストレスなく回転しているか?チェーンもきれいに回るか?車体が必要以上に重たくなっていないか?等を確認して調整していくような作業を指します。
試しに、自宅の自転車を持ち上げて、手でタイヤを回してみて下さい。軽く回してみて下さい。回りますか?さらにはその状態のままで、いつまでもいつまでも回り続けることが理想です。
自転車は小さく軽いので違いが分かりづらいかもしれませんが、バイクのタイヤで同じように回そうと思ったら大変ですよ。そのへんのバイク、10台あったら10台みんな、まともに回らないと思いますよ。
分解して組み直して、イマイチだったらもう一度。
一番よい状態に仕上げるんですよね。
アプローチには【+プラスの要素を引き伸ばす】、【-マイナスの要素を最小にする】という2通りがあったというわけです。
いずれにしてもこの人は、
1.目標達成へのアプローチ方法は一つじゃないということ。
2.今出来ていないことや、細かいことを詰めていくことも、前に進む為には必要で効果的であること。
そんなことを教えてくれました。
「速いエンジンが手に入らないから」とか、そんな言い訳を許さない真剣さ、静かな強さを感じる言葉でした。
今出来ること、「小さなことをコツコツと。」
西川きよしさんみたいですね(笑)